腹部超音波実習修了
2011.04.08
獣医師の中村 昭仁です。
現在、人医療と同様に小動物臨床においても超音波による検査は非常に有効な腹部または心臓の診断ツールです。
超音波検査の最大の長所は、麻酔処置が不必要であり侵襲性が低いという点です。
今回、腹部超音波のすすんだ検査法をみにつけるため、2010年9月から2011年3月まで月に1回(計6回)、獣医教育・先端技術研究所(大阪府箕面市)で腹部超音波検査の実習を受けました。
最終回で実技と筆記のテストを受け、無事に修了しましたのでその概要を報告します。
腹部超音波検査では動物を仰向けに保定し必ず腹部の毛刈りを行います。
毛刈りに抵抗のある飼い主さんもいらっしゃるのでこれは小動物臨床における超音波検査の短所といえるかもしれません。
そして動物をできるだけリラックスさせて保定することが大事です。
おなかに力が入っていると見えにくくなる臓器があります。
実際はリラックスできないぐらいおなかに痛みを抱えた動物を検査することが多いのですが。
腹部臓器は肝臓からスタートして時計回りに見ていきます。
すなわち、
肝臓 → 胆嚢 → 胃(噴門部) → 左膵臓 → 脾臓 → 左腎臓 → 左副腎 → 膀胱 → 前立腺(子宮) → リンパ節 → 右腎臓 → 右副腎 → 十二指腸 → 胃(幽門部) → 右膵臓
といった具合です。
動物はじっとしていることが不得意ですから、全体を通して8分で全ての臓器を見終えるようにします。
現在の超音波検査機器は検査中に簡単に画像を保存、プリントできるので飼い主さんへの説明がしやすいと思います。
超音波検査は画像検査の一つであり、これだけでは確定診断は困難です。
血液検査やX線検査など、他の検査を組み合わせて診断することが重要です。
そして、より精度の高い超音波検査を行うことで、より多くの疾患を診断できると考えます。
今回の実習で指導して頂いた先生がた、ともに実習に参加した先生がた、保定にきてくれた病院スタッフに感謝します。
ありがとうございました。