わんちゃん、猫ちゃんの「変形性関節症」に新しいお薬が出ました。
2023.07.11
皆様こんにちは、獣医師の藤井です。蒸し暑い日が続きますがお元気でお過ごしですか?効果的にエアコンを使って、人も動物も体調を崩さないようお気をつけくださいね。
私事になりますが、出産のため長らくお休みをいただいておりました。現在は短時間での勤務をさせていただいており、引き続き皆様にご迷惑をおかけしてしまうこととなり、申し訳ありません。
さて、今回はわんちゃんや猫ちゃんの「変形性関節症」についてお話させていただきたいと思います。
これは年齢や肥満、品種、怪我などさまざまな要因により関節の軟骨やその周囲の組織に変形が起き、慢性的な痛みを生じる疾患で、関節痛の原因として多くの割合を占めています。8歳以上のわんちゃんでは約80%、12歳以上の猫ちゃんでは90%以上が罹患しているというデータもあるようです。
わんちゃんでは歩き方の変化(跛行)、お散歩に行きたがらない、痛みのある関節を舐める・噛む、ジャンプをしなくなる、階段を登らなくなる、触ると痛がって怒るなどのサインが現れます。
猫ちゃんでは高いところにあまり登らなくなる、じっと寝ていることが多くなる、飛び降りる時や階段の上り下りに勢いがなくなる、などのサインが現れます。(※猫ちゃんは一般にわんちゃんと比べ痛みを隠す傾向が強いため明らかな症状を見せないこともあります。)
この病気は完治が難しいため、生活の質を保つことを目的として、お薬、体重管理、食事療法などを組み合わせて痛みを和らげる治療を行います。
しかしこれまで一般的に使われてきたお薬は、長期的に使うと腎臓や肝臓に負担がかかるリスクがありました。なので、サプリメントを併用して少しでもお薬を使う量や頻度を減らして長期的な治療を行ってきました。
そんな中、2023年に、これまでと全く異なる方法でこの病気の痛みを軽減してくれるお薬が登場しました!変形性関節症により生じる「痛みの原因」を標的とした抗体薬で、1ヶ月に1度のお注射で大きな効果を発揮します。ピンポイントで痛みをブロックしてくれるお薬なので、従来のお薬と比べ副作用が少ないのが最大のメリットかと思います。また、病院で1ヶ月に1度お注射をするので、お薬を飲むのが苦手な子にも安心です。
もともと膝が悪くあまり高いところには登っていなかった当院の看板猫のかつおさんも、このお薬を注射してから高いところに登るようになりました。心なしか、表情も自信に満ちているようです。
わんちゃん猫ちゃんに気になる症状がある方はもちろん、シニア期の子やぽっちゃりさんがいてもしかしたら?という方、新しいお薬ってどんな感じ?と気になる方、ぜひ当院のスタッフにご相談くださいね。