腫瘍科
犬では約50%、猫で約30%程度がガン(腫瘍)で死亡・苦しんでいるといわれています。
当院では神戸でも数少ない腫瘍科認定医による専門的な知識と経験に基づく診療を行っております。
検査・診断・治療・手術と腫瘍に関わることを全て当院で対応しております。
認定獣医師
腫瘍科認定医による腫瘍科診療
当院では腫瘍科認定医(院長の河野)が在籍し、専門的な知識や経験をもとに、患者様にとって最良な治療を行っております。また、腫瘍の患者さんの多くは高齢であり、心臓病や腎臓病、関節疾患を併発している場合もあります。
そのような場合にはほかの専門スタッフと連携をとりながら、チーム医療を実践しております。セカンドオピニオンを受けられる患者さんも多くご来院されています。腫瘍治療でお困りの事がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
日本の獣医療のがん診療・研究を行っている団体です。当院院長の河野は日本獣医がん学会の認定医です。
治療の特長・方法
リンパ腫
病気の概要
犬のリンパ腫は造血系悪性腫瘍の83%を占める。多中心型80%、前縦隔型5%、消化器型5~7%、皮膚型・その他節外型は稀である。
猫のリンパ腫はFeLV/FIV感染より発症リスクが高まる。前縦隔型は発生頻度20~50%、平均発生年齢2~3歳、FeLV陽性率80%。多中心型は発生頻度20~40%、平均発生年齢4歳、 FeLV陽性率80%。消化器型は発生頻度15~40%、平均発生年齢8歳、 FeLV陽性率30%。皮膚型・その他節外型は発生頻度5%以下、平均発生年齢8~10歳、 FeLV陽性率10%以下である。
病気の種類
犬猫ともに悪性度が高く進行の早い低分化型リンパ腫と、悪性度が低く進行の遅い高分化型リンパ腫に大別される。同時にB細胞型とT細胞型にも分類される。さらに細かい分類が多数ある。
診断のために行う検査
- 触診
- 細胞診
- リンパ節の切除生検
- リンパ球クローン性検査
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
治療方法
抗がん剤による治療が中心である。低分化/高分化、によって使用する薬剤が異なる。予後は発生部位・悪性度により大きく異なるため、治療開始前の診断が重要である。
部位によっては外科手術・放射線治療を行うこともある。
犬の乳腺腫瘍
病気の概要
犬の乳腺腫瘍は、中高齢の未避妊雌において最も一般的に認められる腫瘍である。雌の全腫瘍中52%を占めるといわれ、最も発生が多い。平均発生年齢は9~11歳と高く、5歳以下の犬における悪性腫瘍の発生はきわめて稀とされている。乳腺腫瘍の約半数が悪性腫瘍といわれている。小型犬よりも中・大型犬の方が悪性腫瘍の発生率が高い。早期の避妊手術により発生を予防することができ、未避妊雌は避妊雌に比べると発生率が7倍である。初回発情前に避妊手術を行うと、未避妊雌での発生率の0.05%、初回発情後で8%、2回目発情以降で26%まで発生率を下げることができる。
診断のために行う検査
- 触診
- 細胞診
- 病理検査
- X線検査
- 超音波検査
- 血液検査
治療方法
外科手術が第一選択である。未避妊であれば同時に避妊手術を行うことが多い。同時の避妊手術により、その後の良性乳性腫瘍の発生率を下げることが出来るといわれている。
悪性度、進行度により術後に化学療法を行うこともある。早期の完全摘出の場合、化学療法を行わないことがほとんどである。
炎症性乳癌の場合、疼痛緩和として放射線治療を行うこともある。
猫の乳腺腫瘍
病気の概要
乳腺腫瘍は猫の腫瘍で3番目に多い腫瘍である。またほとんどが悪性で腺癌である。猫の乳腺腫瘍は極めて悪性度が高く、急速に成長し、領域リンパ節と肺に転移する。好発年齢は10~12歳であり、一般的に7歳以前の発生は少ない。シャムでは乳腺腫瘍を含め様々な腫瘍発生率が高く、他の猫腫と比較して乳腺腫瘍が若齢で発症する傾向がある。早期の避妊手術により発生率を下げることができる。未避妊雌は6カ月で避妊手術を実施した猫に比べると発生率が7倍である。6カ月齢以下で実施すると91%減少、12カ月齢以下で実施すると86%減少するといわれている。
診断のために行う検査
- 触診
- 細胞診
- 病理検査
- X線検査
- 超音波検査
- 血液検査
治療方法
外科手術が第一選択である。リンパ節を含めた拡大切除が基本である。手術だけでは根治が難しく、腫瘍発見から死亡までの期間は10~12カ月といわれている。早期発見/治療で成績が大きく向上する。2cm径以下の場合生存期間中央値は36カ月以上である。
術後に抗がん剤が推奨されており、生存期間の延長が期待できる。
放射線治療を行うことはあまりない。
骨肉腫
病気の概要
骨肉腫は犬及び猫で最も発生の多い原発性骨腫瘍であるが、犬では大型犬に多く、高い確率で肺転移を生じる。四肢に発生した場合、骨肉腫と診断時90%の確率ですでに肺転移が起こっているといわれている。発生部位により、悪性度・予後が異なる。下顎に発生したもの四肢よりも予後が良い。一方猫では骨腫瘍の発生自体がまれである。また、犬では過去の骨折が骨肉腫の原因となりうる。腫瘍が骨折から1年前後以内の短期間で発生した場合、骨肉腫によって生じた病的骨折の可能性が高い。
診断のために行う検査
- 触診
- 細胞診
- 血液検査
- X線検査
- 超音波検査
- CT検査
- 骨生検(病理検査)
治療方法
四肢・下顎であれば外科手術を行う。骨肉腫は骨融解が起こり、疼痛が重度のため、QOL改善のために手術を行う。断脚術後、大型犬であってもほとんどの症例で歩行は可能である。
術後の抗がん剤で生存期間が延長される可能性が高いため、ほとんどの症例で行われる。
四肢に発生したものは、外科手術単独で中央生存期間4.3カ月、1年生存率12%。術後に抗がん剤を行うと中央生存期間10カ月、1年生存率40%といわれている。