症例紹介

Case

2025/2/21

腫瘍科

犬の皮膚腫瘍の一例犬の皮膚腫瘍は局所麻酔で切除できる?

「犬の皮膚にしこりが見つかった」
「動物病院で腫瘍かもしれないと言われた」

そんな時、飼い主様にとってもっとも気になることは手術が必要かどうかということではないでしょうか。
そして、手術が必要な場合に不安に感じるのが麻酔のリスクです。
犬の皮膚腫瘍は高齢の犬で多く見られますが、局所麻酔を使うことで麻酔のリスクを減らして、摘出できることがあります。

今回は犬の皮膚腫瘍と麻酔のリスクについて詳しく解説し、実際に当院で局所麻酔を使って切除した犬の皮膚腫瘍の症例をご紹介します。
特に愛犬の皮膚腫瘍の治療に悩まれている方は、ぜひ最後までお読みいただき、治療の参考にしてみてください。

犬の皮膚腫瘍について

犬の皮膚腫瘍は皮膚や皮下組織に発生する腫瘍で、良性と悪性の両方が存在します。
良性腫瘍は一般的に成長が遅く、転移しませんが、悪性腫瘍は急速に成長し、他の臓器に転移する可能性があるので注意が必要です。
皮膚腫瘍の症状は

  • 皮膚のしこり
  • 皮膚の赤み
  • 脱毛
  • かゆみ
  • 出血

などが挙げられます。
これらの症状が見られた場合は早めに動物病院で診察を受けることが重要です。
早期発見と適切な治療が、愛犬の健康を守る鍵となります。

皮膚腫瘍の治療は外科手術が基本

犬の皮膚腫瘍の治療は腫瘍の種類や大きさなどによって異なりますが、外科的切除がもっとも一般的です。
悪性腫瘍は増殖が早く、放置すると他の臓器へ転移する可能性もあるため、早期に切除することが大切です。
良性腫瘍であっても、大きくなって日常生活に支障をきたす場合には切除が推奨されることもあります。

犬の皮膚腫瘍は外科手術で完全に取り切ることができれば、基本的には予後が良好です。

皮膚腫瘍の外科手術には麻酔が必要?

皮膚腫瘍の切除をはじめとする外科手術を行う際、ほとんどの場合で麻酔が必要です。
犬で使用される麻酔には全身麻酔と局所麻酔の2種類があります。

ここでは全身麻酔と局所麻酔の違いについて詳しく解説します。

全身麻酔

全身麻酔は犬を完全に眠らせて痛みを感じなくする方法です。
全身麻酔では呼吸や心拍数などの状態を管理しながら、安全に手術を行うことができます。
しかし、全身麻酔は心臓や呼吸器に負担をかけるため、特に高齢犬や持病を持つ犬ではリスクが高くなります。

局所麻酔

局所麻酔は特定の部位だけを麻痺させて痛みを感じなくする方法で、比較的簡単な処置に有用です。

局所麻酔では犬は意識のある状態で手術を受けることになりますが、全身麻酔に比べてリスクが低く、回復も早いというメリットがあります。
ただし、局所麻酔が適しているのは比較的小さな腫瘍や、皮膚の表面に近い腫瘍に限られます。

全身麻酔のリスクが高い犬の特徴

全身麻酔は犬にとって大きな負担になる可能性があります。
以下のような犬は全身麻酔のリスクが高いとされているので注意しましょう。

  • 高齢犬
  • 持病を持つ犬
  • 肥満犬
  • 過去に麻酔で問題があった犬

これらの要因がある場合は全身麻酔のリスクと手術の必要性を慎重に検討する必要があります。
心配なことがあれば、事前に獣医師と相談しておきましょう。

局所麻酔で皮膚腫瘍の切除は可能?

全身麻酔のリスクが高い犬の場合でも、局所麻酔を活用することで、皮膚腫瘍の切除が可能な場合があります。
局所麻酔は全身麻酔と比較して、体への負担が少なく、麻酔のリスクを大幅に抑えることができます。
ただし、すべての皮膚腫瘍の切除に局所麻酔が適応されるわけではありません。
局所麻酔が適応となる可能性のあるケースは以下の通りです。

  • 腫瘍が小さい
  • 腫瘍が皮膚の表面に近い部位にある
  • 腫瘍と周囲との境界が明確
  • 腫瘍の可動性がある

また、局所麻酔は意識を残したまま手術を行うので、犬がおとなしく手術を受けることができるか、性格や状態を見極める必要があります。

実際の症例

ここでは実際の当院で局所麻酔で切除した皮膚腫瘍の症例をご紹介します。

11歳の避妊済みメスのパグが皮膚にできものがあるということで来院されました。
この症例は過去に2回皮膚の肥満細胞腫という腫瘍の摘出を行っていました。

次の写真が実際の皮膚腫瘍です。

皮膚腫瘍

皮膚腫瘍の細胞診検査を行ったところ、今回も肥満細胞腫ということが判明し、外科手術を行うことになりました。
しかし、この症例は呼吸時のガーガー音などの短頭種気道症候群の症状があり、全身麻酔のリスクが高いと考えられたため、局所麻酔での切除を選択しました。
これが実際に局所麻酔を行っている写真です。

局所麻酔を打っている様子

皮膚腫瘍の周りに局所麻酔を投与することで、痛みのコントロールが可能です。

今回は局所麻酔のみで無事に手術が終了しました。

手術後の様子

まとめ

今回は犬の皮膚腫瘍を局所麻酔で切除した症例を紹介しました。
皮膚腫瘍の治療において、全身麻酔が必要なケースも多くありますが、条件が揃えば局所麻酔で切除できることもあります。
特に、年齢や持病により全身麻酔のリスクが高い犬の場合はこの方法は局所麻酔が有用です。

当院では犬の年齢や健康状態などを考慮し、最適な治療法を提案させていただきます。
「皮膚にできものがあって、手術したいけど麻酔が心配」

このように、全身麻酔のリスクが心配な方、局所麻酔での手術について詳しく知りたい方は、気軽にご相談ください。

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