2025/2/1
腫瘍科
犬の骨肉腫の一例実際の症例をもとに症状や治療について解説
犬の骨肉腫は犬の骨に発生する悪性腫瘍です。
「骨の腫瘍ってどんな病気なの?」
「骨肉腫と診断されたけどどんな治療が必要なの?」
「骨肉腫は治るの?」
といった疑問をお持ちのご家族の方もいらっしゃると思います。
今回は、犬の骨肉腫を実際の症例をもとに症状や治療について詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の骨肉腫についての理解を深めて犬の健康を守るのに役立ててください。
犬の骨肉腫とは?
犬の骨肉腫は骨にできる悪性腫瘍の一種で、犬の骨腫瘍の中でも最も発生率が高い病気です。
特に大型犬に多く見られ、前肢の骨や大腿骨に発生しやすい傾向があります。
中高齢の犬にかかりやすい病気です。
犬の骨肉腫は進行が早く、骨の破壊や強い痛みを伴うことがあります。
適切な治療が行われないと骨折や肺転移を引き起こす可能性があります。
犬の骨肉腫の症状は?
犬の骨肉腫では
- 脚の腫れ
- 歩き方がおかしい
- 脚を引き摺る
などの症状がみられることがあります。
骨肉腫は進行が早く転移をしやすいため、肺転移を起こすと呼吸困難などの症状が出ることもあります。
また、腫瘍により骨がもろくなることで、骨折を引き起こすこともあるため早期の治療が重要です。
症例紹介
実際の骨肉腫の症例を紹介します。
当院に9歳9ヶ月のボルゾイが、4日前から右前肢をかばうように歩くということで来院されました。
触診では右前肢の橈骨の腫れと押すと痛がる様子を確認。
さらに詳しい検査を実施しました。
レントゲン検査を行ったところ右前肢橈骨が、骨の構造が大きく変化していることがわかりました。
こちらが実際のレントゲン画像です。
レントゲン画像の特徴から骨肉腫の疑いが強いと判断し、病理検査を実施。
採取した組織を病理検査に提出したところ、骨肉腫と診断されました。
骨肉腫の治療には、
- 外科手術
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
などがあります。
今回は飼い主様とのご相談の上で外科的切除による断脚手術を行うことに。
また、骨肉腫は転移の可能性が高い腫瘍のため、手術後の再発・転移のリスクを抑えるために抗がん剤治療も合わせて行いました。
こちらが手術中の様子です。
手術は無事に成功し、犬の状態も良好だったため、3週間おきに抗がん剤を投与する治療を開始しました。
現在、術後3ヶ月が経過していますが、一般状態は概ね良好で、食欲元気もあり、日常生活に問題はありません。
また、腫瘍の明らかな転移も認められませんでした。
断脚手術って大丈夫なの?
骨肉腫の手術では、腫瘍の位置や大きさによって断脚手術を実施することがしばしばあります。
断脚手術を行うことに不安をお持ちの飼い主様もいらっしゃいますが、ほとんどの犬は3本脚での生活に適応していきます。
術後しばらくは歩行のバランスに慣れる必要がありますが、慣れればしっかりと歩くことも可能です。
骨肉腫は進行が早く転移しやすい腫瘍であるため、断脚手術も怖がらずに選択肢に入れる必要がありますね。
骨肉腫の予後について
犬の骨肉腫は治療をせずに放置すると余命が約110日だと言われています。
断脚手術を行って適切に腫瘍を取り除いた場合でも、延命時期は約2ヶ月ほどになってしまいます。
断脚手術と抗がん剤治療を組み合わせて行うことで、場合によっては1年以上生存期間を伸ばすことが可能です。
しかし、犬の骨肉腫は適切な治療を行なっても、腫瘍の進行具合によっては予後が悪いこともあります。
骨肉腫は初期の段階で治療を行うことが重要ですね。
まとめ
犬の骨肉腫は発見が遅れると骨折や転移を引き起こし、予後も悪くなる怖い病気です。
歩き方がおかしかったり、足をかばうようにしていたりするなどの症状があれば、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
特に大型犬の飼い主の方は注意が必要です。
犬の骨肉腫の治療は断脚などの外科手術と、抗がん剤治療を合わせて行うことが予後改善の有効な選択肢です。
治療が遅れると予後も悪くなるため、早めの治療が必要ですね。
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愛犬の歩き方や様子に異変を感じたら、ぜひ当院へご相談ください。