症例紹介

Case

2025/1/26

消化器科

猫の誤食の一例突然激しく鳴く原因はお腹の異物が原因かも?

家で猫を飼っている方であれば、猫の便を処理している時に
「こんなもの食べてたんだ…」
とヒヤリとしたこともあるかもしれません。

今日はそんな猫の誤食について実際の症例を交えつつ、解説していきます。
ぜひこの記事を最後まで読んでいただき、今まで以上に誤食に気をつけるきっかけにしていただければと思います。

猫の誤食とは

猫の誤食は、特に若い猫で多く、ものによっては命の危険がある怖い行動です。
異物が気道や食道に留まらなければ、大きな症状もなく胃に入ります。
そのため、飼い主の目の前で食べなければ、発見が遅れることもあります。
便の中に異物が入っていて初めて気がついたり、嘔吐や食欲低下で気づくこともあるでしょう。

症状

誤食をすると

  • 嘔吐
  • 食欲の低下
  • 元気喪失
  • 異常なよだれ

などの症状がよく見られます。
これらは胃腸の粘膜が傷ついたり、詰まることで起こります。

検査

誤食したものによってはレントゲンで写る可能性があります。
飲んでしまったものや、疑われるものは動物病院へ持っていきましょう。
異物により腸の閉塞を起こした場合は、お腹の超音波検査を実施します。
これにより腸の動きや、閉塞箇所を確認することができます。
もし異物が針などの鋭いものの場合は、消化管に穴があく可能性があります。
その場合は、画像検査で腹水があるか確認してもらいましょう。
腹水中に菌がいる場合は、異物が消化管を突き破っている可能性が高くなり手術が必要です。

治療

食べた直後であれば、吐かせる処置をすることが可能です。
しかし、猫は犬よりも薬剤で吐く可能性が低いと言われています。
これで吐かなければ、便と一緒に出てくるまで様子を見るか、内視鏡で取り出すしかありません。
誤食した形状や種類によっては胃洗浄が必要な場合もあります。
消化管に詰まってしまった場合は、手術で取り出す必要があります。
消化管に穴が開いた場合は、異物の回収と穴を縫う治療が必要です。
お腹の中に菌が漏れている場合は、お腹の洗浄も必須となります。

よく食べてしまう異物

猫がよく食べてしまう異物を挙げます。
猫のいる部屋に出しっぱなしにしている場合は、注意しましょう。

  • おもちゃ
  • マット
  • タバコ
  • 段ボール
  • 釣り針

などが多いです。
おもちゃや紐は特に多く
「遊んだ後に片付け忘れていた」
とよく聞きます。
これらは飼い主様の注意により、誤食を防ぐことができそうです。
マットや段ボールは
「いつも齧っているのは見ていたけど、まさか飲み込んでいたとは」
とおっしゃられる方が多いです。
危険そうなものは早々に撤去しましょう。

実際の症例

症例は、11歳の避妊済みの雑種猫です。
「歩き方がおかしく、突然大声で叫ぶ」
という相談でご来院されました。
身体検査を実施したところ、特に前足や後ろ足に痛みはありませんでした。
しかし、肛門周囲を触ると嫌がる様子が確認されました。
レントゲン検査を実施したところ、縫い針が大腸にあることがわかりました。

針を誤食した犬のレントゲン画像


飼い主様と相談し、針が腸に刺さっている可能性もあることから、全身麻酔下で肛門から針を摘出しました。
摘出後は元気に過ごしています。

この症例は幸いにも大腸まで針が進んでおり、お腹を開ける手術をする必要はありませんでした。
しかし、これはかなりラッキーなことです。
針は食道や、胃腸を傷つけてしまうこともありますし、腸に穴が開くこともあるかも知れません。
そうすると、胃腸の内容物がお腹に漏れ出してしまい、最悪は死に至ることもあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回の症例のように突然大きな声で叫ぶなどの場合は、消化管内で異物が悪さをしている可能性もあります。
嘔吐や食欲不振はないからといって、誤食を否定することはできません。

今回の記事を読んでいただき、より一層家の中の物には注意していただきたいと思います。
猫から目を離す時は、机の上などもしっかりと片付けましょう。
もし「飲み込んでしまったかな?」と思った時は、早めにご相談ください。

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