症例紹介

Case

2025/1/19

腫瘍科

ハムスターの軟部組織肉腫の一例手術で摘出した症例

ハムスターは小さな体と愛らしい姿が人気のあるペットです。
しかし、ハムスターも犬や猫と同じように腫瘍性疾患にかかることがあります。

今回は、ハムスターにできる腫瘍の中でも軟部組織肉腫について詳しく解説します。
ハムスターを飼われている方の中には
「軟部組織肉腫ってどんな腫瘍?」
「どんな症状がでるの?」
「予後は悪いの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
当院で実際に手術を行った症例をあわせてご紹介しますので、最後までお読みいただき、大切なハムスターの健康管理に役立ててください。

軟部組織肉腫とは?

軟部組織肉腫は、皮膚や皮下という軟部組織と言われる部分に発生する悪性腫瘍です。
軟部組織肉腫は腫瘍が周囲に広がっていく浸潤という現象が起こりやすく、

  • 筋肉
  • 神経組織

といった部位に広がります。
放置していると肺などへ腫瘍が飛んでしまう転移が起こる可能性もあり、命に関わる危険な腫瘍です。
ハムスターの軟部組織肉腫はジャンガリアンハムスターに多くみられます。

ハムスターの軟部組織肉腫の症状は?

ハムスターの軟部組織肉腫は

  • 皮膚や皮下に硬いしこりができる
  • 食欲や元気が低下する
  • しこりが裂けて、膿や血液が出る

などの症状が見られます。
ハムスターの軟部組織肉腫は特に肩や腕にかけて出来やすいので、肩に何かあるなと思ったらすぐに動物病院を受診しましょう。
腫瘍を放置していると、腫瘍が広がっていってしまうだけではなく、治療が難しくなることもあります。
ハムスターの軟部組織肉腫は、早期発見早期治療が大切です。

軟部組織肉腫の治療方法は?

ハムスターの軟部組織肉腫の治療法として最も効果的なのは、外科手術による腫瘍の完全切除です。
ハムスターは体が小さく、手術や麻酔のリスクが犬や猫よりも高い動物です。
しかし、腫瘍を放置すると病気が進行してしまうため、早期の治療がおすすめですね。

手術で腫瘍を摘出しても、腫瘍が広がっていて完全に取り切れない場合もあります。
腫瘍が完全に取り切れない時は、抗がん剤やステロイドなどの内服を使った治療をあわせて行います。
腫瘍の場所やハムスターの状態によって手術ができない場合も、内服を使用した治療が必要です。
どのような治療を行うかは獣医師とよく相談して決めていきましょう。

軟部組織肉腫は手術で完全に治る?

ハムスターの軟部組織肉腫は、周囲に腫瘍が広がりやすい腫瘍であることはご説明した通りです。
手術で腫瘍を取り除いても見えない腫瘍が広がっていることがあります。
そのため、軟部組織肉腫は再発しやすい腫瘍の一つでもあります。
手術を受けた後も定期的に動物病院へ通院し、経過を観察するようにしましょう。

実際の症例

2歳のオスのジャンガリアンハムスターが当院に来院されました。
飼い主様はハムスターの足に硬いしこりがあることに気づいたようです。
このハムスターは1年前にも腫瘍を摘出していて、腫瘍は軟部組織肉腫でした。
診察で触診したところ、首や足周辺にできものが確認されました。
腫瘍の可能性があり、軟部組織肉腫の再発の可能性があると判断。
全ての腫瘍を取り切るのは体力的にも難しく、飼い主様とご相談の上で一部摘出手術を実施しました。

こちらが手術前のハムスターの様子です。
腫瘍がいくつかあるのが確認できますね。

腫瘍のハムスターの写真

こちらは手術後の写真です。

腫瘍切除後のハムスター腫瘍が特に大きかった足からお腹にかけてを取り除きました。

ハムスターは術後の経過は良好で、食欲もあるようです。
今後は内服を使いながら経過を慎重に観察していきます。

まとめ

ハムスターの軟部組織肉腫は、命にかかわる可能性がある腫瘍の一つです。
早期に発見し治療をしないと、腫瘍がどんどん広がっていってしまいます。
手術で取り除いても、再発の可能性が高い腫瘍です。
治療後も定期的な経過観察が重要ですね。

当院ではハムスターの軟部組織肉腫を初めとした腫瘍の治療を行っています。
ハムスターにしこりがある場合や元気がない様子が見られる場合は、ぜひご相談ください。
その他の症状でも、ハムスターに気になることがあればお気軽にご来院ください。

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