症例紹介

Case

2024/9/29

整形外科

犬の尺骨骨折の一例小型犬に多い橈骨・尺骨の骨折

「犬が急に足を痛がって歩かなくなった」
「犬が高いところからジャンプしてから足を挙げている」
このような症状がみられる場合は骨折の可能性があります。
特に小型犬は骨が細く、ちょっとした衝撃でも骨が折れてしまうことも少なくありません。

今回は犬の骨折の中でも特に多い橈骨・尺骨の骨折について、症例を交えながら詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の骨折について理解を深めましょう。

橈骨・尺骨の骨折とは

橈骨と尺骨は、犬の前足にある2本の骨です。人でいうと前腕にあたる部分ですね。橈骨と尺骨は体重を支えたり、歩いたり、走ったりする上で重要な役割を担っています。
小型犬は、体重に対して骨が細いため、橈骨・尺骨の骨折が多いです。
好発犬種には以下の犬種が挙げられます。

  • トイプードル
  • ポメラニアン
  • パピヨン

特に、高所からの落下や飛び降り、車との接触事故などの外傷により骨折が発生することがあります。
また、栄養不足や遺伝的要因により骨が弱くなることも骨折のリスクを高める要因となります。

犬の橈骨・尺骨骨折の症状

「犬が骨折したらどんな症状が出るの?」
このように思われる方もいるのではないでしょうか。
以下のような症状が出たら橈骨や尺骨の骨折を疑いましょう。

  • 前足を引きずって歩く
  • 前足を地面につけない
  • 足を触ると痛がる
  • 足の腫れや変形が見られる

これらの症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

橈骨・尺骨骨折の診断

犬の橈骨・尺骨骨折は視診・触診とレントゲン検査で診断をします。

視診・触診

歩様などを確認し、実際に骨折が疑われる部位を触診します。触診にて足の腫れ、痛みなどを確認します。

レントゲン検査

骨折の程度や位置を正確に把握するためにレントゲン検査を行います。レントゲン検査では実際の骨の様子を観察できます。

犬の橈骨・尺骨骨折の治療法

橈骨・尺骨骨折の治療法は、骨折の程度や部位、年齢、健康状態などを考慮して決定します。

保存療法

骨折の程度が軽度の場合はギプスなどで患部を固定する保存療法が行われることもあります。
骨折による痛みもあるため痛み止めを併用し、運動制限も実施します。

外科手術

骨折の程度が重度の場合や保存療法では治癒が難しいと判断された場合には、手術が必要です。 プレートやピンなどのインプラントを用いて骨折部分を固定します。
インプラントは入れたままにすると骨が弱ってしまうこともあるので、骨折部位の骨がくっついたらインプラントを抜去することもあります。

犬の骨折を予防するには

ここまで解説したように犬の橈骨・尺骨の骨折は外傷が原因のことが多いです。
以下のような対策をして骨折を予防しましょう。

家庭内環境を整備する

ソファやベッドからの飛び降りを防ぐために、マットやラグを敷きましょう。階段や段差にも注意が必要です。

適切な運動と栄養管理を行う

小型犬の骨を強くし、骨折のリスクを減らすためには、適切な運動と栄養管理が重要です。
日々の散歩や遊びを通じて適度な運動を行い、筋肉と骨を強化します。

適正な体重管理を行う

犬が肥満傾向になると骨への負担が大きくなります。
定期的に体重をチェックし、適正体重を維持することで、骨への負担を軽減します。

尺骨骨折の実際の症例

今回の症例は4歳の避妊メスのトイプードルです。
ベッドから落ちた後に左前脚を挙げているという主訴で来院されました。
触診で左前足の疼痛を確認し、レントゲン検査を行ったところ、尺骨の骨折がみられました。

尺骨骨折のレントゲン画像

この症例では全身麻酔下でプレートを設置する外科手術を実施しました。

プレートを入れた後の尺骨骨折のレントゲン画像

術後の経過は良好で元気に過ごしています。

まとめ

今回は、犬の橈骨・尺骨骨折について解説しました。
愛犬が骨折してしまうと、飼い主様も愛犬も辛い思いをしてしまいます。 

当院では骨折などの整形外科の治療にも積極的に取り組んでいます。
日頃から予防を心がけ、万が一犬が骨折してしまったかもと心配な場合は、すみやかに当院までご相談ください。

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