症例紹介

Case

2024/6/17

泌尿器/生殖器科

犬の腎結石、尿管結石、膀胱結石の一例犬の尿が出ない?手術で結石を摘出した症例

犬の尿石症は腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道に結石ができる病気です。
もし、飼い犬が排尿姿勢をとっていても尿が出なかったり、血尿が出ていたら、尿石症かもしれません。
重度な尿石症の場合は、尿道閉塞で尿が出せなくなり尿毒症を引き起こし、命に関わる危険性もあります。

本記事では犬の尿石症の原因や症状、治療方法に加えて、当院での症例を交えながら詳しく解説していきます。
愛犬の健康管理のために、ぜひ最後までチェックしてくださいね。

尿石症の症状

犬の尿石症の症状は、結石の大きさや場所によって異なりますが、代表的なものとしては下記のようなものがあります。

  • 頻尿
  • 血尿
  • 排尿困難
  • 尿失禁

重症化すると、食欲不振、嘔吐、腹痛などの全身症状も現れます。

原因

尿石症の原因には食事の影響、尿のpHバランスの乱れや、各種ミネラルなどの老廃物が過剰になることなどがあります。
また、水分摂取量が少ないと尿が濃縮されやすくなり、結石が形成されます。

犬の尿石症はストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が全結石の9割を占めています。

犬のストルバイト結石は感染が原因で発生することも多いです。治療や再発の防止策を考えるうえで、ストルバイト尿石症の発生に尿路感染が関与しているか見極めることが重要ですね。

治療法

治療方法は結石が存在する場所や種類、症状によって異なります。

結石が尿路閉塞を起こしにくい膀胱にあり、その成分がストルバイト結石の場合は、内科療法や食事療法などで対応が可能です。

シュウ酸カルシウム結石の場合は食事では溶かすことが困難です。そのため、シュウ酸カルシウム結石が見つかった場合は手術が必要になることがあります。
外科手術によりシュウ酸カルシウム結石を摘出後は尿石症の再発がないか定期的なチェックが必要です。

結石が尿道や尿管などに詰まってしまい、尿路閉塞を起こしている場合は緊急手術が必要になることもあります。

症例紹介

今回は尿路閉塞を起こし、手術に至った症例を紹介します。

14歳の去勢オスのチワワが尿が出ないとのことで来院されました。
レントゲン、エコー検査や尿検査を行い腎臓、尿管、膀胱、尿道に結石が見つかりました。


上の写真がレントゲン写真になります。
腎臓や尿管、膀胱に多数の結石が存在することが分かります。

この症例では、尿道の結石により尿道閉塞を起こし、命に関わる場合もあるため手術を実施しました。
今回は尿道結石を膀胱に押し戻して、膀胱切開により結石を摘出しました。

こちらが摘出した結石です。

こちらが手術で結石を摘出した後のレントゲン写真です。

尿道に詰まっていた結石がなくなっていることが分かります。
摘出した結石はシュウ酸カルシウム結石でした。

手術後は1週間ほど入院し、排尿が問題なく出来ていることを確認して退院となりました。
その後は尿石用の食事を継続していただき、再発もなく元気に過ごしています。

まとめ

今回の症例のように、尿石症は尿道閉塞などを起こすと排尿できなくなり命に関わることがあります。このような症例では尿毒症の発症を防ぐために緊急手術が必要になります。
尿石症は早期発見、早期治療が大切です。飼い犬が頻尿や血尿、尿が出ないなどの症状を示した場合は、すみやかに動物病院を受診しましょう。
早期に尿石症を発見し、こまめに検診を受けることで重症化を防ぐことが可能です。

尿石症のことで気になることがあったり、飼い犬に排尿のトラブルがある方はお気軽に当院までご相談ください。

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